退職金に関する税金について

勤めている会社を退職する際には雇用保険や健康保険、厚生年金など様々な手続きが必要になります。
多くの手続は転職先ではなく、それまで勤めていた会社側で行ってくれる場合が多いのですが、最も心配になるのは「税金」に関することではないでしょうか。
退職に関わる税金としては所得税、住民税という2つが大きな問題となりますので順に見てみましょう。
まずは所得税についてですが、退職というある意味特殊な事情に伴うものとして退職金に対する税金というものがあります。
勤続年数やそれぞれの会社の退職金規定にもよりますが、ある程度の年数勤務していた場合には退職金も高額になることもあるでしょう。
しかし退職金は通常の給与とは税金の仕組みが違い優遇されていますので安心して下さい。
退職金の税額は、実際に支給された退職金から一定の控除額を差し引き、更にその額を半分にしたものに税率をかけるという仕組みで計算されます。
控除額は勤続年数が20年以下の場合は「勤続年数×40万円」、勤続年数が20年以上の場合であれば「(勤続年数-20年)×70万円+800万円」となります。
ただし、会社側に退職所得申告書(正式名称は退職所得の受給に関する申告書)を提出するかどうかで違いが出てきます。
申告書を提出した場合には会社側で税金を計算して退職金から天引きする形で支給されますが、申告書を提出しない場合には翌年の確定申告で申告しなければなりません。
住民税について
会社によって対応の違いがあるのが住民税です。
所得税というのはその年の所得に対してかけられる税金ですが、住民税は前年の所得額に応じて計算される税金となります。
1月から12月までの所得について税額を計算し、翌年の6月から支払うという仕組みになっているのです。
また住民税の納付方法には普通徴収と特別徴収というものがあり、毎月の給与から住民税が自動的に引かれている場合が特別徴収となります。
普通徴収の場合は住んでいる市町村から毎年5月頃に1年分の納付書が届き、数回に分けて納付することになりますので、退職しても変わりありません。
しかし特別徴収をしている会社の場合には退職する期日によって納付方法等が変わってきますので注意しましょう。
例えば3月に退職した場合、5月分までの住民税は最後の給与から一括して天引きすることになります。
しかし6月以降に退職した場合には通常通り1ヶ月分の住民税だけが天引きされます。
ただし、転職先が特別徴収だったとしても住民税についてはすぐに天引きの対象とはならず、しばらくの間は納付書によって自分で収めなければならなくなるので注意しましょう。
これまで住民税についてあまり意識していなかった場合には、突然住民税の納付書が届いて驚いてしまうこともあるでしょう。
転職までのブランクがある場合には収入がない中で住民税の請求が来てしまいますので納税資金を確保しておくことも大切です。